スパニスト実技試験後半シロビャンカ行程

第七話 愛知スパニスト実技試験後半シロビャンカ行程!と大きな決断の前兆 

順調にスパニスト実技試験前半デトックス工程を終えた柳井は、後半のシロビャンカ行程に入る。  1行程目オイルを撫でる 頭皮につけるオイル、ピッタオイル、ヴァータオイル、カパオイルのそれぞれの特性を丁寧に説明しながら試験官の頭皮につける。試験官は敏感肌で乾燥気味であるのでピッタオイルをつける。(オイルエッセンスリマサリの詳しい解説はこちら) 2行程目頭を包み込み後ろにさする 手のひらを大きくパーにして左手からやさしく頭頂に置く。手のひら付け根のふくらみ部分を使い大きく円を描く様に側頭部~耳後ろへと軽くさする。手のひら全体で頭皮の硬さハリやリンパの滞りを流すよう首筋~方へ流す 3行程目側頭筋を引き上げる 頭を両手で覆うように包み頭皮を持ち上げるように、手の付け根、指の付け根、指先の3か所使い肘をしっかりと上げて上へ上へと引き上げ、ゆっくりと撫でながらおろす。 4行程目頭皮をつまむようにほぐす 右手を頭頂部に置きVの字にした左手の親指とほかの指を使って左側頭部の頭皮をつまむように耳上から後部へ向かってほぐしていく。その後右側頭部へ……チラッと時計を見る。少々ペースが速い。手順に気を取られ動きが速くなっていた。焦るな! 柳井自身も呼吸をゆっくりと整えゆったりと気持ちを落ち着かせる。もう一度試験官の胸部の呼吸の動きに合わせる。 5行程目指腹で頭皮をほぐす 片手を頭頂部に置き指腹で後頭部の下から上へとゆっくり円を描く様に回しほぐす。次に両側頭部を両手で同様に行う。 6行程目指腹で額をほぐす 両手をピアノを弾く様に頭頂部に置き指腹で頭皮をつかむように頭頂へと向かってほぐす。 7行程目頭皮を指腹で撫でる 両手の指腹で髪の生え際から後部にゆっくりと押し流す。 この時になると、頭皮の硬さはほぼ無くなり、手のひら越しに体温を感じつつ血行が良くなった感じが判る。  
 この工程を書いていくのはなかなかしんどいが、なにか面白いこと書こうにも、この五年後教育会社ビーアンビシャスを立ち上げそのホームページでしくじり美容師の美容室ビーアンビシャス経営日記の記事を書くなどとこの時の柳井は思ってもいないので、ただただ真剣に施術に没頭する。  
 8行程目手のひらの腹で内に押し込む 頭骨を両手で3か所内側に押す。必ず左側から行うようにと前回の講習時に言われていたのを意識し、しっかりと間違わずに行う。 9行程目髪を軽く引く てっぺんから始めて頭全体にまとめて髪をつかみ軽く心地よい強さで引っ張っていく。頭皮に刺激を与え毛根に活力を与える。 10行程目頭全体を指の腹で撫でる 指腹を使ってジグザグと生え際から頭頂へとシャンプーをするような動きで軽くこすり撫でします。次に後頭部を首から頭頂にかけて掴み擦る。 11行程目頭全体を指先で弾く 指を広げて頭全体を強弱をつけながらタッピングする。頭皮に刺激を与え、循環機能を促進する 12行程目中心のラインを押す 人差し指先で髪の生え際から中心に向かって5点押し、センター、ややずらして左右、さらにずらして左右5ライン押す。 13行程目チャンピ 手のひらを合わせ合掌の形で、やさしく頭皮に振り下ろし心地よい刺激で頭皮全体の血液循環を上げる。 14行程目包むように頭を抑える 3~5秒ほどのスピードで側頭部を手のひらで覆い挟むように圧をかけ、ゆっくりと首筋から肩へリンパを流すようにさすり下す。  以上で工程は終わり、ミスなく終えてほっと胸をなでおろす。 
  
 力を出し切った柳井達4人は、ここ3カ月の猛勉強と猛練習を終え達成感に満ち溢れていた。ある意味この3カ月はスパニスト試験の為全てを捧げ、終わったら中部地方最大の歓楽街栄で、今まで頑張った分美味しい物や酒を飲む事を楽しみにこれまで頑張ってきたと言っても過言ではない。 

 3カ月前のスパニスト講習の時、酒が飲めなかったのは、柳井のスケジュールがかなり弾丸ツアーだったのもあるが実はシロビャンカやデトックスをするとその日におしっこをすると凄い濃い色の尿が出る。つまりリンパの流れが良くなり老廃物が大量に放出されるためだ。それだけ即効性があるのだが、そうするとその日はアルコールを採るといつも以上に酔いやすくなる。その為、前回は相モデルでデトックスやシロビャンカ行程施術を二人一組で一日中施術やったりやられたりしていたので酒が飲めなかった。しかし、今回は試験官にやっただけなので自分たちは施術を受けていない。もう飲むしかない。 

 後日合否が届くということで、柳井達は試験会場の最寄りの一宮駅から名古屋駅へ向かう。初めて降り立った名古屋駅、気温は夜にもかかわらず36度湿度90%以上だった。駅を出た瞬間道産子には経験したことのない湿熱のねっとりとした空気がモワッと襲い掛かる。目的の手羽先のお店は名駅ビル近くにある。 

 名古屋はナゴヤと読むのに、名古屋鉄道や名古屋駅を略すときは名鉄(メイテツ)名駅(メイエキ)というのだが柳井はそのことを知らず目的地近くの名駅ビルの場所が判らず「ナエキビルってどこですか?」と通行人に聞きまくったが、全員に「いや、知りません」と言われ探すのに時間がかかった。 
  
 そして、4人は名古屋のグルメを堪能し翌日名古屋城を観光し帰路に就いた。 
  
 しかし、札幌に帰ってきてまもなく柳井の元に一本の電話がかかってくる。 
「ユキさん! お店閉めることになりました」後輩からの突然の電話である。 
  
 これが長く赤字経営を余儀なくされるきっかけの始まりであった。